ゲイの出会いの歴史

Gay Life

僕がゲイ活動を始めたのは、1990年代の後半でした。当時はインターネットの黎明期。ブログもSNSもまだなく、古典的なWebサイトにようやくCGIによる投稿機能が付き始めた頃でした。そんななか見つけたのが、Men’s Net Japan (MNJ)のサイトでした。エリアボードやフォトメッセージ(今となってはすたれてますが)で、ゲイの友達や恋人を匿名で探せるというのは、衝撃的な世界でした。

その後、ゲイの出会いの場は、SNSやアプリに移行していきましたが、自分がゲイとして活動し始めた時期に、インターネットというものがあって良かったと、心から思います。もしインターネットがなかったら、自分の人生は大きく違うものになっていた気がします。

そんな感謝の気持ちを込めて、ゲイの出会いの歴史をまとめてみました。

1990年以前

僕がゲイ活動を始めた1990年代より前、ゲイの出会いはゲイバーか、あるいは雑誌の投稿欄であったのではないかと思います。

Wikipediaによれば、日本のゲイバーの歴史は江戸時代の陰間茶屋までさかのぼれるとか。また、もともと遊郭・赤線地帯であった二丁目がゲイタウンになったのは1960年代とのこと。ゲイバーの歴史は古く、もし自分がもっと早くに生まれていたら、出会いのためにゲイバーに行っていたのかもな、と思います。

また、ゲイ雑誌の文通欄も出会いの場として使われていたのですね。自分が読んだことのある雑誌といえば、『SAMSON』や『Bʌ́di』、『G-men』なのですが、意外にも 『Bʌ́di』や『G-men』の創刊は1990年代に入ってから。それ以前は『薔薇族』『さぶ』といった雑誌が読まれていたようですが、僕は接したことがありませんでした。

さらに、1980年代後半には、伝言ダイヤルやダイヤルQ2といった、電話回線を利用したサービスが登場していますね。いわゆるノーマル向けの風俗サービスがたくさんあったようですが、おそらくゲイの出会いの場としても使われていたのではないかと思います。

1990年代

インターネット自体は1960年代から研究が始まっていて、1980年代にはTCP/IPが標準化されているので、すでに長い歴史があるものですが、僕たちの手に届くものになったのは、やはりWindows95の登場以降ですよね。自分も学生時代にWindows95のPCを買いました。もともとその目的は、Wordや表計算を使って、授業の課題をこなすためだったと思うのですが、すぐにメールやインターネットの便利さ・面白さに気づいて、そちらの利用がメインになりました。そして、最初に触れたように、 MNJにたどり着いたのです。

自分が最初にゲイの友達や恋人を作ったのは、 MNJの掲示板での出会いでした。今もMNJは当時のシンプルな見た目と機能のまま、多くの人に使われていますが、今考えると、シンプルながら十分な機能があって、完璧な設計だったのだと思います。

ところで1990年代前半、PHSや携帯電話が広まる前の一瞬、ポケベルがコミュニケーションツールとして使われていました。自分も1993年にポケベルを手に入れ、4年ぐらい使っていました。当時、『じゃマール』という雑誌があって、そこにポケベルの番号を載せてもらい、ベル友や恋人を探すという文化がありました。自分もベル友を作ったりしていたのですが、もしかしたらポケベルをゲイの出会いのツールとして使っていた人もいるかもしれませんね。

2000年代

2000年代に入ると、インターネットの世界は古典的なWebサイトから、ブログやSNSに移行していきました。とくに日本ではmixiが一気に広まりました。匿名性や、同じ趣味嗜好を持つ仲間を簡単に探すことができることから、ゲイの出会いツールとしても使われていました。調べてみると、mixiのサービスインは2004年。これはFacebookの立ち上げの年と同じなんですね。残念ながらmixiはグローバルスタンダードにはなれなかったけれど、ものすごく先進的なサービスだったのだなと思います。

SNSと掲示板を融合したゲイ向けのサービスとしては、STAGPASSというサービスもありましたね。今でも稼働しているようですが、僕がこちらを利用していたのも一瞬だったように思います。

また、Twitterのサービスインは2006年。mixiやFacebookにはない、投稿やフォローの気軽さが、新しいツールでした。出会いを目的としたツールとしては少し使いにくい、というか時間がかかるとは思うのですが、Twitterで出会いがあったという人は多いのではないでしょうか。

2010年代

そして2010年代は、ゲイの出会いのほとんどがスマートフォンのアプリに変わった時代でした。グローバルサービスだったGrinderやJack’dがサービスインしたのが、それぞれ2009年と2010年。そして日本発の9monstersのサービスインが2011年。iPhone初代の発売が2007年でしたから、2010年を前にスマートフォンのプラットフォームが整い、2010年代に一気に広まったのでした。

匿名性や趣味嗜好による仲間探しといったSNSの特徴に加えて、位置情報を使って出会いを探せるというのは、僕にとってはMNJに出会ったときと並ぶ衝撃でした。この仕組みを考えた人は、ホントに天才だと思ったものです。

こうやって改めて調べてみると、アプリが使われ始めてから、もう10年もたっているのですね。つい最近のように感じていたのですが、驚きです。

まとめ

これまでの流れを、図にまとめてみました。

こうやって眺めてみると、1990年代、2000年代、2010年代と、10年ごとにすごく大きなテクノロジの変化があって、ゲイの出会いの方法も変わってきたのだなと思いました。一方、2010年代のアプリ以降、大きな変化は起きていないように見えますので、そろそろ大きなテクノロジの変化があってもいいころかなと思います。どんな新しい出会いが可能になるのか、楽しみです。

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